皆さん、こんにちは。令和6年5月1日に就任から2年目を迎え、訓子府町ホームページ「町長室」の執筆を定期的に書き込みしていきます。
まずは、北海道町村会会報5月号に「町村長リレーエッセイ」として投稿した内容です。
消滅可能性自治体の未来
音威子府村から「府」つながりでバトンを受けました訓子府町です。
「訓子府」の語源はアイヌ語の「クンネプ」=「黒いところ やち川にして水黒し」に「訓子府」の漢字をあてたと言われています。
経済評論家であった故内藤克人先生の解釈では「『訓』は教え諭す」「『子』は子どもへ」「『府』は地域や場所、首都」を表している、すなわち先人は「子どもや子ども達へ教え諭すことを続けて欲しい」「教え育む地域、受け継ぐ地域であって欲しい」との希望を「訓子府」の漢字に託したと説明されました。「教育、福祉、暮らしを大切に誰一人取り残さないまちづくり」が、「未来からの呼びかけ」にも聴こえます。
さて、4月24日に人口戦略会議が全国の744自治体でいずれ「消滅の可能性がある」との分析結果を公表しました。道内は117市町村が消滅可能性自治体と定義され、翌日の報道各紙に一面で報じられました。奇しくも北海道町村会の第78回定期総会の当日と重なり、「消滅」の表現も含めた批判が論じられました。
町民が一丸となって持続可能なまちづくりに立ち向かう中、「消滅可能性自治体」という表現に憤りを感じているのは私だけでしょうか。「その町の町民のことはその町の町民が決める」という地方自治の本旨からは、町民が選択しない限り「消滅」はないと思っています。
本町においては、国勢調査人口が昭和30年の10,903人をピークに、2020年は57%減少し、2050年推計では79%もの減少となることが推計され、高齢者人口は減少に転じ、出生数も20人を割り込むなど、本格的な人口減少社会に突入したといえます。
こうした経済、社会環境の変化に対しても食料安全保障が論議される基幹産業の農業では、180億円を超える生産高で、特に玉ねぎは全国の7%の生産量を占めるなど日本の食を支える生産基地として発展し、教育、福祉、暮らしを充実させてきました。
先輩世代が脈々と築き上げてきた「訓子府町」を未来の世代に紡いでいかなければならないと町長就任2年目の節目に決意を新たにしているところです。
(令和6年6月14日 訓子府町長)