○訓子府町常呂川水系環境保全条例
平成21年10月1日条例第28号の2
訓子府町常呂川水系環境保全条例
北海道の屋根、大雪山系の一つである三国山の森から湧き出した清らかな水は、無加川をはじめ多くの支流と合流しながら、道東屈指の大河、常呂川となりオホーツク海へと注がれます。
この流域には遠く太古の時代から、独自のオホーツク圏の文化を築いてきました。
そして、流域に住む私たちに大いなる自然の恵みを与え、産業、経済の礎となって歴史を育んできました。
しかしながら、近年における都市化と産業活動の進展は、常呂川水系の河川環境の悪化と自然浄化作用の低下を招いています。
常呂川流域に住む私たちは、悠久の歴史を刻んできたこの川を、貴重な財産であるとの認識を共有し、子や孫、そして、将来この流域を訪れるすべての人たちのために、美しく豊かな河川環境とその生態系を守り続けなければなりません。
私たち町民は、常呂川流域の北見市及び置戸町と連携して常呂川水系の環境の保全及び適正な利用に努め、より美しい川として次の世代へ引き継ぐことを決意し、ここに、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、町、町民、事業者及び河川を利用する者の責務を明らかにするとともに、常呂川流域の1市2町が共通の認識を持ち連携を深めて、河川環境の保全及び河川の適正な利用(以下「河川環境の保全等」という。)に取り組むことにより、現在及び将来にわたって町民が川と共生し、健康で潤いのある生活を営むことができる良好な環境の創造を図ることを目的とする。
(基本理念)
第2条 本町の河川環境の保全等は、森と川と海のつながりを大切にし、豊かでかけがえのない自然と生活環境の調和を図りながら、潤いのある暮らしができるよう推進されなければならない。
2 河川環境の保全等のための施策は、町民の諸活動並びに治水及び利水等との調和を図り、将来にわたって豊かな水と良好な水質を保全し、快適な流域の環境を創造するものとする。
3 河川環境の保全等のための施策を進めるに当たっては、町民、事業者及び河川を利用する者の参加、協力及び理解に基づき行わなければならない。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
(1) 河川 河川法(昭和39年法律第167号)が適用又は準用される河川、常呂川水系の流水及び水面、その他公共の用に供される水路をいう。
(2) 生活排水 炊事、洗濯、入浴等町民の生活に伴い排出される水をいう。
(3) 事業用排水 事業者の事業活動に伴い排出される水をいう。
(4) 浄化装置等 河川に排出される生活排水の浄化に効果のある装置等をいう。
(5) 河川を利用する者 河川の水の利用及び釣り等のレジャーで営利、非営利を問わず河川を利用する者をいう。
(町の責務)
第4条 町は、河川環境の保全等のため、総合的な施策の実施に努めなければならない。
(町民の責務)
第5条 町民は、河川環境の保全等に努めるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。
(事業者及び河川を利用する者の責務)
第6条 事業者及び河川を利用する者は、自己の責任と負担において、河川環境の保全等のために必要な措置を講ずるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。
(相互協力)
第7条 町、町民、事業者及び河川を利用する者は、河川環境の保全等のため相互に協力しなければならない。
(関係行政機関との連携)
第8条 町は、河川環境の保全等に関し、河川管理者等と連携を図り、必要に応じ、常呂川水系環境保全対策協議会等において協議するものとする。
(環境学習等)
第9条 町は、町民、事業者及び河川を利用する者が、河川環境の保全等についての理解並びにその活動の意欲が増進されるよう、環境学習その他必要な施策を講ずるものとする。
(生態系の保全)
第10条 何人も、常呂川水系の健全な生態系の保全に努めなければならない。
(投棄の禁止)
第11条 何人も、廃棄物等を河川に捨ててはならない。
(生活排水の浄化)
第12条 町民は、生活排水を河川に排出しようとするときは、浄化装置等を設置して排出するよう努めなければならない。
(洗剤の適正使用)
第13条 洗剤を使用する者は、これを適正に使用し河川環境への負荷の低減に努めなければならない。
(肥料等の適正使用)
第14条 肥料又は農薬を使用する者は、これらを適正に使用し、河川の水質を汚染しないよう努めなければならない。
(家畜排せつ物等の適正な管理と利用)
第15条 家畜を飼養する者は、家畜排せつ物等が河川に流出しないよう適正に管理し、河川環境の保全に努めなければならない。
2 家畜排せつ物等を利用する者は、適正な堆肥化処理を行い、農地への施用は環境に配慮した利用に努めなければならない。
(土砂流出の防止)
第16条 土地の所有者及び利用者は、土砂が河川に流出しないように努めなければならない。
(事業用排水の処理)
第17条 事業者は、事業用排水を河川に排出しようとするときは、法令に定められた排出基準を遵守しなければならない。
(指導及び助言)
第18条 町長は、この条例の目的達成のため、河川を利用する全ての者に対し、必要な指導及び助言を行うことができる。
(報告及び調査)
第19条 町長は、河川環境の保全等のために必要に応じ関係者の協力を得て、排水の状況その他必要な事項について報告を求め、又は職員に調査させることができる。
2 前項の規定により調査を行う職員は、その身分を明らかにするため証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(常呂川愛護月間)
第20条 町は、流域住民が河川環境の保全等について共通の認識を持ち、連携の強化を図るため、常呂川愛護月間を設けるとともに、その趣旨にふさわしい行事の実施に努めるものとする。
(啓発活動)
第21条 町は、河川環境の保全等に関する知識の普及及び意識の高揚を図るため、啓発に努めるものとする。
(委任)
第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めることができる。
附 則
この条例は、平成21年10月1日から施行する。